



2017/01/28. Innisfail Sunrise reflection.

イニスフェイルの週末の朝。週末のいちばんの楽しみは、少し早起きをして、キャンプ場の共同キッチンで静かに朝を待つことだった。忙しない平日から離れて、ただ夜が明けていくのを眺める。それだけの時間が、あの頃の俺には何よりの贅沢だった。
その日、共同キッチンに人の姿はなく、俺ひとり。空気は思っていたよりも涼しく、じっとりとした湿気もない。鳥の囀りも、川のせせらぎも聞こえず、あたりは驚くほど静かだった。漂うのは、淹れたてのコーヒーの香りだけ。

はじめ、空はまだ藍色に沈み、木々の輪郭だけが黒く浮かんでいた。やがて雲のふちが金色に燃えはじめ、その色を水面がそっと映す。木々の向こうから光が放射状に差し込み、あたりの色がゆっくりと移っていく。最後に太陽が完全に姿を現すと、鏡のような水面が、空をまるごと抱きとめた。

四十分ほどの、ゆっくりとした夜明け。カップを両手で包みながら、俺はただ、光が移ろっていくのを眺めていた。
美味いコーヒーと、綺麗な朝日。望んでいたのは、たったそれだけ。それでじゅうぶんすぎるほどの、週末の朝だった。

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