

赤い花 ゼラニウム、ハイビスカス。
赤い花には、赤い花なりの言葉がある。ゼラニウムは「君ありて幸福」、ハイビスカスは「新しい恋」。並べてみると、どちらも誰かの存在を前提にした言葉だと気づく。だが写真にするとなると、この赤という色ほど手強いものはない。

ゼラニウムは花弁が密集する分、ハイライトがすぐに白へ飽和し、色の輪郭を保つだけで一苦労だった。ハイビスカスは逆に花弁が大きく開く分、陰影の勾配そのものが崩れやすく、鮮やかさを足すほど平面的になっていく。

彩度を上げれば階調が死に、階調を守れば色が沈む。そのトレードオフの中で、ようやく残った一枚一枚だ。花言葉が語る幸福も恋も、結局は誰かとの距離の話だった。赤に手を焼きながら、俺もまた、写真越しにその距離を測っていたのかもしれない。
Camera: SONY a6600.


