




2016/08/27 Kuranda, Cairns. Kanji flag. 天空へ続く線路。

ケアンズの熱帯雨林を抜け、標高300メートル余りの山あいの村キュランダへ。100年以上前、開拓者たちが手作業でトンネルを掘り、橋を架けて拓いたこの鉄道は、世界遺産バロン渓谷の緑を縫って走る。
村では色とりどりの旗が風に揺れていた。愛、平和、勇気、叡智、幸福、静けさ――それぞれの言葉が漢字とともに空へ翻る。ゆっくり流れる村の時間が、旅の心をほどいていく。

そして帰りの列車。木の温もりを残すヴィンテージの客車に揺られ、窓の外を景色が流れていく。眼下には谷あいに寄り添う小さな街並みと、遠くきらめくコーラルシーの水平線。

やがて列車は名高い湾曲した鉄橋を渡る。手すりの向こうは断崖、緑は迫り、100年前の職人たちの執念がいまも列車を支えている。青い空、白い雲、深い森――カラフルな機関車が、のどかな草原をゆっくりと駆けていく。

深く切り立った渓谷では、岩肌を白い水が幾筋も滑り落ちていた。雨季であれば壮大な滝となって観光客を驚かすこの滝は、乾季の今はその岩肌を剥き出しにし、俺たちに自然の偉大さ、力強さを教えてくれる。

行きは期待に、帰りは名残に。窓を開ければ、熱帯の風がすべてを連れ去っていった。ずっと忘れないだろう、この山を越えた一日を。
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