




2016/2~7/ Landscape on Banana farm.イニスフェイルのバナナ畑と、あの蒼い空。

イニスフェイルは、オーストラリア・クイーンズランドの北にある小さな町だ。ワーキングホリデーの一時期、俺はここのバナナファームで働いていた。
畑にいてまず驚くのは、静かなことだ。トラクターのエンジンを切った瞬間、音が全部消える。遠くの車の音も届かない。ただ葉が擦れる音だけが残る。
匂いは、ほとんどない。バナナ畑と聞けば甘い香りを想像するかもしれないが、実際は無臭に近い。匂いを感じたのは、動物の死骸が転がっていた日くらいだった

気温は日本の春や秋くらい。寒暖差がほとんどない土地だから、体調を崩すこともなかった。ただ週に3〜4日程雨が降る地域だった。雨対策をして農場に挑まなければ、長時間雨に打たれ体調を崩す一因になってしまう。
房に被さっている青いビニールは、風で揺れた葉が実を叩いて傷をつけるのを防ぐためのものだ。畑の緑のなかで、そこだけが人工の色をしている。

だから、よく空を見ていた。朝の光は柔らかく、株のあいだに低く差し込む。昼になると、空が信じられないくらい濃い蒼になる。あの色は日本では見たことがない。

畑を横切る土の道は、雨が降ればぬかるみ、乾けば石がむき出しになる。毎朝この道を通っていた。
写真はすべてスマホで撮った。作業の合間、手が空いたときだけ。だからどれも構えていない。あの日々でいちばんよく覚えているのは、収穫でも給料でもなく、この空だ。

Camera:SONY Xperia
