



新しい相棒と、道端の青

2021年5月23日。α6600を手にして、初めて外へ持ち出した日だったと思う。
行き先は決めていなかった。ただ、この新しい相棒がどう写すのかを知りたくて、上永谷の近所を歩いていた。目的のない散歩だ。何かを撮りに行ったのではなく、何かに出会うために歩いていた。

道端に紫陽花が咲いていた。梅雨にはまだ早い五月だが、株はもう十分に育っていて、青の房がいくつも肩を寄せ合っていた。よく見れば、房ごとに色が違う。ある一輪は縁に紫を滲ませ、光の加減で藤色にも見える。紫陽花は一色に決めきらない花だ。青や白の房は「和気あいあい」、紫を帯びた房には「神秘」。同じ株のなかで言葉まで移ろっていく。

太陽は自分の背後にあった。半順光。花弁が光を透かして、内側から発光しているように見えた。この当たり方が、たまらなく好みだった。しゃがみ、角度を変え、何度もシャッターを切った覚えがある。少し進めば、木漏れ日が一房だけを照らしていた。暗がりに浮かび上がるその青に、また足を止めた。
最後は寄った。青のなかに青を重ねるように。

あれから四年。カメラはもう手に馴染んで、相棒と呼ぶのも照れくさいほどだ。それでもたまに思い出す。何が撮れるか分からないまま、ただ光を追いかけていたあの午後を。
Camera: SONY a6600.

